スポーツで起こるケガと、どう向き合うか?
2種類に分けられるスポーツのケガ
スポーツをしていると、ケガを負うような場面も少なくありません。いくら安全に気を付けていても、転んだり衝突したりすることでケガをしてしまうものです。また、同じスポーツを続けることで肘や膝などに痛みが生じるような場合もあるでしょう。
今後もスポーツを行う上で、早期に対処することが大切です。
「スポーツ外傷」と「スポーツ障害」の原因や症状の違いについて
スポーツにおけるケガは、骨折や打撲、膝の痛みなどさまざまなものがあります。
これらのケガは、大きく分けると「スポーツ外傷」と「スポーツ障害」の2種類に分けることができます。
それぞれどのようなケガの症状があり、どんなことが原因で起こってしまうのかみていきましょう。
【スポーツ外傷】
スポーツ外傷とは、スポーツをしている時に一度の外力で発症するケガや、偶発的に発症する身体のダメージの事を指します。
例えば、スポーツ中に試合相手と衝突してしまったり、転倒してしまったりすることで起こるケガです。一度の外力で生じるため、受傷直後から外見や症状に分かりやすく現れることも多くなっています。
スポーツ外傷の例として主に次のケガが挙げられます。
<骨折、脱臼、捻挫、打撲、挫傷(肉離れ)>
【スポーツ障害】
スポーツ障害はオーバーユース(使い過ぎ)や繰り返しの負荷によって 、同一部位に繰り返し力が加わることで起こる痛み・ケガを指します。
スポーツは、同じ動作を繰り返すことが多いものです。
野球であればボールを投げる動作が多いですし、バスケやバレーボールではジャンプをする機会が多いでしょう。また、テニスや卓球では腰を捻る動作が多くなります。
こういった同じ動作を繰り返すことは、同じ部位に負荷を大きくかけることになってしまいます。そのため、スポーツ障害が引き起こされるのです。
代表的なスポーツ障害には、次の例が挙げられます。
オスグット病
成長痛の代表例です。
膝のお皿の下にある少し出っ張った骨に痛みが起こります。
成長期、10代前半の男児に多く発症します。
シーバー病
これも成長痛の一例です。
踵の後側、アキレス腱の付着部に痛みが起こり、 10歳前後の男児に好発します。
約半数は両側の踵に痛みが起きます。
野球肘
野球肘とは成長期に発症する肘関節周囲の障害の事で、投球動作を繰り返すことで発症します。
肘の外側や内側の軟骨部分が繰り返される外力によって、痛んだり・剥がれたり・分離・遊離したりします。早期に発見できれば、ストレッチやフォームの矯正、投球制限や一時期のポジション変更などで多数改善します。
肘周囲に痛みを感じたら早めの受診をお勧めします。
テニス肘
上腕骨外側上顆炎とも呼び、肘の外側部分に痛みが起こり、テニス選手に多く発症することからテニス肘と呼ばれています。
中高年の女性には、仕事や家事など手首・腕の使い過ぎから引き起こされるケースも多くみられます。
ジャンパー膝
膝のお皿の上部あるいは下部に痛みが起こる症状です。
その名の通り、ジャンプを多くするスポーツによくみられ、バレーボール・バスケットボール・サッカーなどの競技を活発におこなう若者に多く発症します。
スポーツをすることにより、太ももの前側にある大腿四頭筋が収縮し膝蓋骨上部(膝のお皿の上)の筋付着部と、膝蓋骨下部(膝のお皿の下)の膝蓋靱帯付着部に伸張ストレスが加わり痛みを生じます。
シンスプリント
足のすねの骨(脛骨)の内側に痛みが起こる疾患です。
走ることの多い競技、陸上・サッカー・バスケットボールの選手に多く、高校に入りたての新人やシーズン初めに多く発症し『初心者病』とも呼ばれています。
痛みや腫れを我慢して競技を続けると『疲労骨折』に進行することもあり、しばらく運動を禁止せざるを得なくなります。
早めの受診と適切な施術を受けることが大切です。
スポーツでケガをした時の対処法や予防方法
スポーツでケガをしてしまうことは、避けようと思っても避けられないことも多いでしょう。そのため、ケガをしてしまった時の対処法を知っておくことは大切です。
また、ケガは避けられないとはいえ、日常生活において出来る限りケガをしないように予防方法も取り入れていきましょう。
【ケガをした時の対処法】
スポーツをしていてケガをした場合、すぐその場で応急処置を行うことが重要です。応急処置によって症状の悪化を予防し、早期改善が期待できます。
スポーツにおけるケガの応急処置では、「RICE処置法」という応急処置が用いられます。
Rest(安静)
ケガをしたら、受傷部位を動かさないようにして安静にします。
試合中であれば、安全な場所に静かに移動させて安静にしましょう。
Ice(冷却)
受傷部位を冷やすことで炎症を抑制し、痛みを軽減させます。
冷却パックやビニール袋に氷を入れたもので冷やしますが、道具がない場合には濡らしたタオルで代用します。
Compression(圧迫)
受傷部位周辺を圧迫することで、炎症を軽減させます。
受傷部位を動かさないように固定する効果もあるので、テーピングや包帯を用いて軽く圧迫しましょう。
Elevation(拳上)
受傷部位を心臓より高い位置に挙げることで、炎症が悪化しないように予防します。
※症状、痛みの状態・進行の程度によっては運動を中止する選択もあります。
特に野球肘の場合、我慢をして投げ続けたりするとその後の競技人生に大きな影響を及ぼすことになりかねません。
少しでも痛みや違和感を感じたら我慢をして競技を続けず、早めの受診をお勧めします。
【日常生活でできる予防方法】
予想できないケガもありますが、予防方法を取り入れることでケガをするリスクを軽減できる可能性があります。
ケガを少しでも減らすため、またケガをしても軽症にするためにも予防方法を日常的に取り入れるようにしましょう。
ストレッチを行う
運動やスポーツを行う前には必ずストレッチを行いましょう。
ストレッチをすることで筋肉や関節の柔軟性が高まるので、突然の動きにも対応しやすくなり、ケガ予防につながります。
フォームを見直す
スポーツにおけるフォームが間違っていれば、余分な負荷が部分的にかかってしまいます。
そうすると、その負荷がかかっている部分を痛める原因になってしまうのです。
正しいフォームでスポーツができるように、フォームの見直しを行いましょう。
症状、痛みの状態・進行の程度によっては運動を中止する選択もあります。
特に野球肘の場合、我慢をして投げ続けたりするとその後の競技人生に大きな影響を及ぼすことになりかねません。
少しでも痛みや違和感を感じたら我慢をして競技を続けず、早めの受診をお勧めします。